公共政策の倫理学(旧地方自治の倫理学)

元藤沢市議酒井信孝のブログです。

合理性なき次亜塩素酸水配布事業

 昨日、藤沢市当局に確認しました。
 いすゞプラザとリサイクルプラザ藤沢に関しては、それぞれの事業者がボランティアで、所有している生成器(市と同性能)を用いて製造し配布しているとのことです。
 他の、市民センター等16か所に関しては、業者から無償提供された生成器を市役所に設置し、市の職員が生成器を動かし、市の車ですべての配布場所へ毎日各250リットルを運んでいます。原材料の希塩酸は業者から無償提供されており、市の負担している製造コストは電気代と水道代のみですが、毎日職員丸々1人分程度の業務負担となっています。
 「一定の効果」というのは新型コロナの感染力をなくすレベルで不活化できなくても、ある程度は減らすことができる、という意味だとのことでした。しかし、単に水で洗ってもある程度は減るわけで、手荒れのリスクを冒してでもこうしたものを噴霧している人というのは感染リスクを除去することを期待しているのですから、通常の利用方法で感染力をなくせないようなものを「一定の効果」があるとして配ることは、過度な期待、誤解、を与えることとなっているわけです。
 いずれにしても、次亜塩素酸水の無料配布には相当な労力と経費が掛かっているのであって、8月末に一端中断するにしても、コロナ終息まで断続的に続けるのであれば、有効濃度以上で配れるようにするべきです。市内業者から機材の提供があって始まった配布事業ではあるようですが、有効性の国基準が示された今、そうした業者との義理に縛られることなく、市民にとっての必要性を優先し、事業を改善するのがまともな公共政策の在り方です。
 鎌倉市などは市外の業者から有効濃度以上を生成できる機材の提供を受けており、藤沢市でも業界団体に相談すれば、いくらでも提供してくれる業者はあることでしょう。しかし、本来、本当に必要な事業であるのなら、機材の無償提供がなくても、市費を投じて機材をレンタルしてでもやるべきです。
 
 しかし、次亜塩素酸水の有用性・実用性が低いことも、国の有効性の評価で明らかになったのではないでしょうか。

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