公共政策の倫理学(旧地方自治の倫理学)

元藤沢市議酒井信孝のブログです。

2014年5月8日 ・

日本国憲法 第九条
1 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

当然、この条文は前文とセットである。

日本国憲法 前文
 日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたって自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基づくものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
 日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
 われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。

 日本国憲法は、日本の拠って立つ行動理念・方針を、これほどまでに明瞭に表明している。これは、日本国民の矜持・アイデンティティーの宣言だ。明確な羅針盤であり、この理念に基づくなら、内政も外交も、進むべき方向は明白なはずだ。
 しかし、日本は、立派な理念・方針を掲げておきながら、ことごとくこれらを形骸化してきた。他国への猜疑心に苛まれ、怯えて虚勢を張りながら、武力や経済力にものを言わせ、自国の利益ばかりを優先してきた。むしろ、この憲法を隠れ蓑に、他国を欺いてきたのかもしれない。
 『非暴力不服従』の哲学を体現するには、本物の精神力が問われる。
 理想を語るのは簡単だ。理想は実行しなければ絵に描いた餅でしかない。偉そうに大層な事を言っておきながら、むしろ反対のことをしている様はなんと滑稽なことか。