公共政策の倫理学(旧地方自治の倫理学)

元藤沢市議酒井信孝のブログです。

国家賠償法の使い方 被害者はだれか?

 本日の補正予算常任委員会で学校給食会横領事件に関わる審議を傍聴したのですが、どこか感覚がおかしい。
 「本市職員による学校給食費着服により、食材費が未払いとなっている業者に対して、国家賠償法に基づき損害賠償を行う。賠償金6470万3千円」という議案。
 国家賠償法を用いることでようやく市に被疑者に対する求償権が生じるというのですが、被害者である学校給食会は常に損害賠償請求できるのにしていない。にもかかわらず、被疑者に返済可能な資産を明らかにするように求め、宝飾品を売り払って現金化することも求めているという。返済可能な預金残高もないという被疑者が、現金を手にすれば生活費に消えてしまうに決まってるではないか!やるべきは、いち早く損害賠償の民事裁判を提起し、被疑者の資産を差し押さえ、その移動や処分を阻止することである。
 また、本日の委員会で追加資料として新たに締結した業者との確認書が配布されました。
 先日の『合意書』が市と業者との合意で、それでは不十分だとの指摘を受けてのものですが(詳しくは9月5日6日の投稿をご覧ください)、この『確認書』にしても学校給食会と業者との合意であって、学校給食会の被疑者に対する債権(損害賠償)は存続し、被疑者には市と学校給食会から二重の損害賠償が発生してもおかしくなくなった。このようなことが生じることは国賠法の使い方に問題がある証左と言える。
 それにしても、学校給食会はこの『確認書』をもって確定的に業者への債務を踏み倒したのだから、こんな団体は存続する資格はない。存続するなら、役員全員が責任をとって辞任するべきである。
 しかし、一番の問題は、こうした問題が委員会の中で誰からも指摘されることもなく、見過ごされ、全会一致で可決されたことである。