公共政策の倫理学(旧地方自治の倫理学)

元藤沢市議酒井信孝のブログです。

陳情29第3号神奈川県最低賃金改定等に関する陳情への市民派クラブの討論を行います。
 最低賃金法第9条3項には「生活保護に係る施策との整合性に配慮するものとする」とあり、現在の神奈川県最低賃金の水準は、フルタイムで働くことができれば生活保護の支給額は上回るとは思いますが、フルタイムで働くことが困難な状況にある場合は、生活保護水準を下回ってしまうことは多々あるかと思います。そうした場合は資産を切り崩すこととなり、底をついた場合は生活保護を受けることになるかと思います。しかし、なかなか資産を切り崩すことができず、当座の生活を切り詰め、子どもにしわ寄せが行って、子どもが貧困状態に陥ってしまうといったことも問題になっていると思います。フルタイムで働くことができずに困窮している人の問題は、最低賃金の問題ではなく、事情に応じた社会のサポートが必要なのだと思います。
 私は日本の最低賃金は必ずしも低いとは思いません。しかし、何かしら困った時の社会的サポートが十分ではないために働けなくなり、困窮してしまうのだと思います。
 日本社会に生きる人の大部分は物の消費という点では十分に贅沢していると思います。資源の無駄な消費は、環境の悪化をも招くので、必要以上の個人消費の拡大はいいことだと思いませんので、陳情理由とは違った観点ではありますが、社会全体で見た時に、支払い可能な賃金の総額が同じだとすれば、最低賃金を引き上げることで、高い賃金をもらっている側の賃金は引き下げざるを得なくなり、職種間や会社内の賃金格差を是正することになり、同一労働同一賃金、職種間の格差の是正、に繋がると思いますので、本陳情は趣旨了承とし