公共政策の倫理学(旧地方自治の倫理学)

元藤沢市議酒井信孝のブログです。

最低賃金引き上げ論の支離滅裂

最低賃金引き上げ陳情の審議が昨日ありました。
全国一律にしろだとか、年収200万円以下労働者は皆ワーキングプアで文化的で最低限度の生活ではないとか、内容が支離滅裂で私も賛成出来ませんでした。
経済環境には地域差があるし、世帯状況も様々。月10万円程度で生活している大半の学生は貧困か?

陳情本文
https://drive.google.com/open?id=0B2vSue499zD0Z0p6TmYyU2ZaSFU

建設経済常任委員会での質疑

◆酒井信孝 委員 労働者の4人に1人が懸命に働いても年収200万円以下のワーキングプアに陥っているというふうにあるんですけれども、かつ、下のほうには、最低賃金生活保護水準を下回ってはならないというふうになっているとあるんですけれども、生活保護の場合は世帯収入ということで見ていると思うんですが、年収200万円以下だからといって、働き方はいろいろある、家族の形態もあるという中において、ワーキングプアという概念が、単純にその1人が年収200万円以下ということで全てくくれてしまうものなのか、どうなんでしょうか。そういう一般に言われるものとしてはですね。何か認識があれば……。
◎谷津倉 産業労働課課長補佐 委員おっしゃるワーキングプアの定義なんですけれども、さまざまなことをいろいろなところで言われているんですけれども、世帯の収入ではなく、個人1人の年間の収入が200万円以下ということで認識しております。
◆酒井信孝 委員 そうすると、1人当たりがたとえ200万円以下であっても、いわゆる貧困に陥っている場合ではないことも多々あるわけですから、一概にワーキングプアとは言えないということは言えるでしょうか。――済みません、では今のはいいとして、ちょっとここで、今、全国一律の最低賃金制度というものの確立も求められているわけですけれども、今、各都道府県で最低賃金を決めていると思うんですが、どのようにしてこの差が生まれることになっているのかはわかりますでしょうか。
◎松森 産業労働課主幹 最低賃金を決定するに当たっては、まず厚生労働省から中央最低賃金審議会というところに諮問がありまして、そこの中央最低賃金審議会のほうで答申をまとめるのですけれども、その改定の目安として、AからDランク、地域に分けてランクづけをしております。そのランクづけのときに、それぞれ最低賃金の引き上げ額の目安、例えばAランクですと、東京であるとか千葉、神奈川、そういったところは26円引き上げの目安、Dランクとしては、先ほど申しました最低の賃金額の地域、そういったところにつきましては22円引き上げの目安ということで、それを受けて地方の最低賃金審議会のほうで審議した上で決定する形になっておりますので、どうしても地域によっては、最低賃金額に差が出てくるというような状況でございます。
◆酒井信孝 委員 当然引き上げの諮問というだけではなくて、その地域ごとの格差というか、経済事情だったり、地価が違うとか物価が違うとか、そういうことも大もとの差においては当然反映されていると思うんですが、神奈川は結構高いわけです。先ほどの低いところと比べて、住んでいる地域柄というか、経済的な問題とかも当然反映しているとは思うんですが、これを一律にしてしまうということが果たして、そういうもともとの差があるにもかかわらず、それを一律にしてしまうと、経済的には混乱するというか、おかしな社会になってしまうかなとも思うんですけれども、そういうことをやり得る可能性というのはあるものなのですか。
◎嶋田 経済部参事 委員おっしゃるとおり、最低賃金につきましては、その決定に当たりまして、労働者の生計費とか賃金とか、企業の賃金支払い能力、そういったものを勘案して決めるということになっております。ですので、全国的なチェーン店でありますとか、そういうところは価格が一緒だったりしますが、ほとんどの場合、その地域に合わせた価格というのができていると思います。そういったところは一律にしますと物価水準の差が反映されなくなりますので、適切ではないのではないかということで、国のほうで答弁された経過がございます。
◆酒井信孝 委員 あと1点ちょっとお聞きしたいんですが、ここに憲法が保障する健康で文化的な最低限度の生活は、今の最低賃金ではできませんというふうにあるんですが、例えば学生なんかが仕送りで生活する場合に、この11万円とか14万円というのは、もしもらっていたとかそれを使っていたら、結構な生活なのかなと思ったりもするわけですけれども、アルバイトをしながら生活している学生とかもいるわけです。藤沢市奨学金というのを創設しました。文化的と言えない学生もいるということかもしれませんが、一般に学生が1カ月、最低限度の生活を送るにはどの程度の費用がかかるというふうに算定した上で奨学金を決めているのかというのは、何かあるものはありますでしょうか。
◎嶋田 経済部参事 奨学金は、我々としても答え方が大変難しいんですが、奨学金ですので、基本的には学費と捉えている、生活費ではなくて学費ということで捉えているというふうに考えております。