公共政策の倫理学(旧地方自治の倫理学)

元藤沢市議酒井信孝のブログです。

辻堂市民センター再整備問題論点①根拠なき津波避難ビル仕様

 神奈川県が想定外をなくすと意気込み平成27年3月に策定した数千年に一度規模の巨大地震まで含んだ津波浸水予測でも、再整備予定地は床上浸水が想定されていないどころか敷地内は浸水域外なのに、浸水域に接する建物南側ならまだしも、浸水想定域外の建物北側にスロープを設ける必要があるのか?
 藤沢市平成24年に策定した要綱でJR東海道以南を津波避難ビルの指定区域としているが、指定した215施設のうち101施設が平成27年3月に神奈川県が策定しなおした津波浸水予測の浸水域外にある。津波避難ビルの要件が3階以上に避難スペースがあることとなっているために、津波浸水想定区域外であっても津波避難ビルへの避難は一律に3階以上にある避難スペースへの避難が想定されているというのは極めて不合理。大地震が起きた際に辻堂駅周辺など津波浸水が全く想定されていないのに津波避難ビルの標識を見て大勢の人々が殺到してしまうといった余計なリスクを生じている。そして、辻堂市民センターの再整備では津波避難ビル指定域に建てる公共施設だからと同施設を津波避難ビルに指定することとし、2階3階に避難スペースを設け、福祉避難所でもあるために2階へのスロープまで設けているが、浸水予測では床上浸水すら想定されていない。辻堂地域は「津波防災地域づくりに関する法律」に基づく津波災害警戒区域にすら指定されていないが、警戒区域であっても津波浸水想定に基づく基準水位以上の場所に避難場所があることが指定避難施設の要件であるのだから、再整備予定地は1階への避難で十分なのである。要配慮者の避難誘導としても、優先的に一階へ誘導する方がよほど合理的である。