公共政策の倫理学(旧地方自治の倫理学)

元藤沢市議酒井信孝のブログです。

公立学校制服は問題だらけ

論点①偏った男女観
 スカートとズボンでは機能性や安全性に明らかな差があります。なぜそれほどまでして女子にスカートを履かせたいのでしょうか?なぜ男女ともにズボンにしないのでしょうか?性的マイノリティーにはとりわけ息苦しい環境を強いています。元来どちらを履こうが性別によって押し付けられる筋合いはありません。制服をはじめ多様性を前提としない規則は現行憲法と矛盾します。教育のために必要だという正当性がないのであれば、憲法実現のための公教育としてはふさわしくありません。

論点②公教育の平等性 

 藤沢市立中学校全19校中、大清水中1校のみが普段は自由な「提示服」、他は実質制服と変わらない「標準服」です。詰襟やブレザーなどデザインも各校ばらばら。義務教育でありかつ学区制で所属校が決められてしまうのに、所属校によって教育内容に違いがあるのは明らかに公教育の平等性に反しています。

論点③経済性
 インターネット価格1万5千円程度の詰襟学生服が市内取扱業者では4万円前後。市教育委員会は、ネット販売の標準学生服や他の学生服でもデザインが似ていれば利用が可能であると明言しました。それでも高額です。校内リサイクル制度があっても家庭間格差が如実で理不尽です。(何着も揃えられる家庭。成長に応じて買い変えられる家庭。高価であるためにそうしたことのできない家庭も多い。制服でなければそれぞれの事情で工夫することができます。市販のスーツであれば1万以下で買えます。スーツでなければもっと安価です。)

論点④個人の尊厳、教育機会(成長機会)の逸失 
 どんな服を着ようがその人らしさなのであって、見た目をばかにするような精神を戒めるのは教育使命の一つです。違いがあるのは当たり前。どんな格好をするかは自己決定権の最たるものです。制服で個性を覆い隠すことでこの時期に奪われるものが如何に多いことでしょう。

論点⑤各校で見直しは可能
 一般的には、着用義務のない学生服を標準服というのですが、藤沢市立は名ばかりの「標準服」。ただし、学生服のあり方は各校の現場裁量となっており、生徒、保護者の意見を踏まえているとのことです。見直しの必要や要望が生じた場合には、校内に服装検討委員会等を設置し、生徒や保護者、教職員等の意見を踏まえ、変更が可能であることを確認しました。しかし、これはある意味、現場任せで、公教育としての責任放棄のようにも聞こえます。