公共政策の倫理学(旧地方自治の倫理学)

元藤沢市議酒井信孝のブログです。

放置自転車・不法投棄対策

2018年12月定例会一般質問の要点① 放置自転車・不法投棄対策

集合住宅や商業施設の駐輪場に、所有者の分からない放置自転車が堆積しているのを見かけることはないでしょうか?そうした不法投棄は管理者も困るでしょうが、一番困るのは利用者ですせっかくアパートに駐輪場があっても放置自転車のせいで本当に自転車を利用している人の使えるスペースが制約されQOL生活の質が下がります。連動して不動産の価値も下がります。この日常に潜む不経済について取り上げました。

放置自転車は、大きく分けると、駐輪場に停める権利があった人がそのまま放置して不法投棄状態となる場合と、外部者による不法投棄とがあります。後者は明らかな違法行為ですが、前者の場合、多くは元々放置状態で置いてあったものの処分手続きを忘れていった程度の認識で、触法意識はあまりないように思われます。

藤沢市では、自転車は大型ゴミとして回収しています。1台500円で処理手数料納付券を購入した上、電話依頼が必要です。年間1万4千台も回収されています。その内2割程度は走行可能にもかかわらず、すべて1キロ約5円の鉄くずとして売却されています。  一方、公道上の放置自転車として回収された場合は、引き取りに来なかった走行可能な物は海外輸出業者に1台約700円で売却されています。年間約3400台。走行不可な物は大型ゴミとしてくず鉄扱いとなります。

また、民地への不法投棄の場合は、原則(下記答弁①参照)、土地所有者の責任で処分しなくてはならないとなっているため、大型ゴミの中には民地への不法投棄が含まれています。不法投棄の被害に加え、処分費用まで負担させられるというのは被害の拡大です。そこで今回の質疑を通し、救済策の存在を確認しました。

まず、土地所有者が不法投棄防止策を講じていた場合は、大型ゴミの処理手数料の免除措置があります。講じていなかった場合でも、市の指導に基づく防止策を講じれば、同様に免除措置となるとのことです(答弁②参照)。防止策に必要な不法投棄防止看板や不法投棄防止カメラの無償貸し出しもしています。

しかし、防止策を講じていようがいまいが、不法投棄する無法者が悪いことに変わりありません。被害者に被害を防止する、すなわち自衛する責任を課すなどというほどに犯罪が罷り通る社会であるというのでは、法治国家としては情けない限りですが、実際、詐欺事件にしてもそうですが、逃げ得で、泣いている被害者が多いのが現実ですから、社会を挙げて犯罪の防止に努めることは必要ですし、防止に協力していようがいまいが被害者救済策を講じることは社会の健全性のために必要なことです。今回の質疑を通し、行政側の論理で画一的な防止策を求めるのではなく、被害者サイドに寄り添い柔軟な対応を図ることを確認しました(答弁③参照)。

ところで、そもそも、自転車は耐久消費財であるわけですから、できるだけ製品自体がリサイクルされるにことしことはありません。大型ゴミとして出される自転車の中には走行可能な物が2割もあり、その他8割の中にも、かなり長期にわたって放置され風化した挙句にゴミとして出されたものが多いと思われます。川越市の自転車再生工房のように、行政が走行可能な自転車を再生して再販している自治体もあります。ここまでできなくとも、藤沢市でも公道上の放置自転車は海外輸出しているのですから、もっと、この流通を活用するべきです。そして、500円程度であっても、電話依頼も必要なこともあり、負担感があるために不法投棄が後を絶たないのだと思われますので、無料回収にして、積極的に製品リサイクルを推進することで不法投棄も減らせるのではないかと提言しました。


答弁①「行為者が判明しない場合は、『廃棄物の処理及び清掃に関する法律』及び『藤沢市廃棄物の減量化、資源化及び適正処理等に関する条例』の規定に基づいて処理することとなります。その規定では、土地所有者・管理者の責務として、管理する土地又は建物の清潔を保つように努めることやその所有する土地、または建物内の廃棄物を自ら処理しなければならないことが規定されていることから、基本的には市で処理することは出来ず、土地所有者及び管理者に処理していただくことになります。」 

答弁②「『藤沢市ごみ処理要綱』等に基づき、土地所有者・管理者が適正に不法投棄防止策を講じていたにも関わらず、悪質な投棄者によって不法投棄された場合については、処理手数料を免除しております。また、適正に管理されていない場合においても、市の指導に基づき、今後の管理に関して適正な防止策を講じることを土地所有者・管理者が約束した場合についても免除措置を実施しております。これは、不法投棄防止対策に協力をしていただくことで、環境保全の促進に繋げることを目的に実施しておりますが、不法投棄された被害者への救済の一助にもなっているものと考えております。また、市では防止策を講じる土地所有者・管理者の負担軽減を図るため、不法投棄防止看板や不法投棄防止カメラの無償貸し出しなどの支援策も実施しております。」 

答弁③「不法投棄防止策による免除の有無を実施する基準でございますが、空き地の場合については、『藤沢市廃棄物の減量化、資源化及び適正処理等に関する条例』において、みだりに廃棄物が捨てられないようその周囲に囲いを設ける等となっているため、この基準に準じていただいておりますが、空き地以外の不法投棄につきましては、様々な状況で発生しており、画一的な基準を設けることなく、その状況や効果的な対策を土地所有者・管理者の方と協議しながら免除しているところでございます。」