公共政策の倫理学(旧地方自治の倫理学)

元藤沢市議酒井信孝のブログです。

日本の新型コロナ政策は非常事態にそぐわない

 国家の非常事態宣言というのは、国家を挙げて取り組まなくてはならない状況で、国家として取り組むことの宣言なのであって、宣言下においては個人レベルの判断が通用する余地はない。(規制は必要最小限、絶対的に適確でなくてはならない)
 感染症対策のための非常事態宣言下の外出制限は、感染症は人から人へ伝染するのであるから(新型コロナは飛沫感染が主)、一律に国民の移動を制限することで、社会全体として、人と人との接触機会や密度を減らすことが目的である。
 確かに、外出先が過密でなければ、感染拡大には影響しない。
 しかし、個々人の判断に委ねていたのでは埒が明かない事態であるからこそ、一律に家からの外出を制限しましょう、という社会全体の合意が必要なのである。
 「一律」であるからこそ意味があり、成り立つのである。
 例外的なワガママが罷り通るような、正直者が馬鹿を見るようなことであれば、合意など成り立たない。
 利己的な欲求は我慢しなければならない。
 我慢をしなければならない事態であることを理解しなければならない。

 

追記

日本の場合は、全てが中途半端で、一律の規制もないわけですから、自粛警察に取り締まられている人々も被害者なのだと思います。本来であれば、時限的、臨時的、限定的に、強制力のある立法措置をするべきなのです。国家的非常事態において、個々バラバラの個人的な自律性に頼って対処しようというところに無理があります。