公共政策の倫理学(旧地方自治の倫理学)

元藤沢市議酒井信孝のブログです。

受動喫煙防止体制の課題

 2007年に施行した『藤沢市きれいで住みよい環境づくり条例』には「何人も、公共の場所において、歩行するとき又は自転車等で走行するときは、喫煙しないように努めなければならない。2 公共の場所において喫煙しようとする者は、携帯用灰皿を携帯し、又は灰皿が設置されている場所で喫煙するとともに、他人に迷惑をかけないよう努めなければならない。」と努力義務を定めた上、主要駅(藤沢、辻堂、湘南台)に喫煙禁止区域を設定し、違反者には勧告、命令の後、命令違反に対して2万円以下の罰金までが規定されています。禁止区域外でも、タバコのポイ捨てを含む廃棄物の投棄を禁止し、こちらも2万円以下の罰金刑となっています。行政罰である過料を規定する自治体が多い中、藤沢市刑事罰を科し、強い姿勢を明示しています。

 しかし、当初、市の幹部職員100人を指導員、市民200人を推進員とする300人体制で日常的な普及啓発活動をすることが想定されていたにもかかわらず、現状は啓発キャンペーンへの参加が主となり、警察OBの巡回指導員8名が禁止区域内を巡回しているにすぎません。禁止区域内でも指定喫煙所以外で吸う違反者を見かけるのは日常茶飯事です。禁止区域の設定には一定の効果があるものの、指定区域以外も含め、普及啓発活動のあり方を見直すべきであることを指摘しました。
 2003年に施行された健康増進法では「受動喫煙とは「室内又はこれに準ずる環境において、他人のたばこの煙を吸わされることをいう」」と定義があり、あたかも室外における受動喫煙を除外しているような書き方がされていますが、2010年の厚労省局長通知は「受動喫煙による健康への悪影響については、科学的に明らかとなっている」と明記するとともに、「屋外であっても子どもの利用が想定される公共的な空間では、受動喫煙防止のための配慮が必要である」と書いています。子どもの利用が想定されない公共的な空間などというのは風営法の対象施設くらいです。市の答弁で「公共的な空間については、原則として全面禁煙であるべきである」とする厚労省局長通知の基本的な方向性に本市も立っていることが確認できました。
 市は、オリンピック会場となったことも踏まえ、本市独自の受動喫煙対策の考え方を定めた新たなガイドラインの策定を進めていることを答弁しました。