公共政策の倫理学(旧地方自治の倫理学)

元藤沢市議酒井信孝のブログです。

杜撰なJアラート放送訓練

・Jアラートの市民周知を主目的としながら来庁者が訓練の対象になっていない矛盾。
・本庁舎では、館内放送に防災無線が接続しておらず、各部総務課に設置されている防災ラジオからのみの放送となり、総務課のない一階フロアなどでは全く訓練に気が付かず。
・サイレンを周知するだけで行動の訓練計画はあるのか?
・Jアラート以前に、通常の消防計画など新庁舎の危機管理体制は構築できているのか?


 要旨①Jアラート訓練について
 1月31日に実施されたJアラートの放送訓練はどのような目的で実施したのか?その際、用意周到に訓練計画を立てたのか?市民団体から中止を求める動きの報道もありましたが、市民の反応はどうであったのか?訓練をどのように総括し、どのように課題を整理しているのか?
 本庁舎では、館内放送に防災無線が接続しておらず、各部総務課に設置されている防災ラジオからのみの放送となり、総務課のない一階フロアなどでは全く訓練に気が付かなかったそうです。防災ラジオがなければ気が付かないようでは本当の有事の際は困るのではないでしょうか?館内放送でも流れるようにするか、あらゆるところに防災ラジオを配置すべきです。そもそもJアラートを周知することが主目的であったはずの放送訓練なのに来庁者が訓練の対象になっていないというのは訓練計画としてはかなり杜撰、灯台下暮らし、とでも言えるような失態であったように私は思います。
 また、放送内容が「国民保護サイレンを放送します」とのみの簡略化した放送では、国民保護サイレンを知らない市民にとってはまったくの説明不足で、訓練の効果が薄れたように思います。ところで、今回の訓練は市民にサイレン音を知ってもらうのが主目的だったのでしょうが、実際の避難行動を伴う訓練までを計画しなければ、実際の有事に対応できるとは思えません。実際のミサイル攻撃や航空攻撃等があった場合、いつまでも伏せているわけにはいかないと思いますが、少なくとも基本的な対応のマニュアル化はできているのでしょうか?
 先日の訓練では、職員ばかりが率先して窓のない部屋に逃げ込むなど来庁者そっちのけの避難行動が見られましたが、有事においては、職員は市民の生命を最優先にリーダーシップを取ることが期待されていると思いますが、ミサイル攻撃や航空機攻撃といった場合でもリーダーシップを取れるようにするには、それなりの実地訓練をしていなければ不可能です。はたして軍事攻撃に曝されているような非常時を本当に想定できているものでしょうか?今回の訓練を今後どのように生かすのかも答弁ください。
 関連している身近な問題として、この新しい本庁舎における防災についても聞いておきたいと思います。供用開始してから2か月が経ちましたが、多くの市民が安心して利用できるよう、しっかりとした準備の上で運営できているのか一抹の不安があります。この新しいビルをオープンし、一般の多くの市民を迎えるに際し、その安全を担保するための消防計画といったものはきちんと作成し、職員の体制は万全を期しているのでしょうか?いまだ防災訓練は実施されていませんが、すぐにやるべきではないのでしょうか?

≪回答①≫(吉原防災安全部長)
 件名2「防災について」,要旨(1)Jアラート訓練についてお答えします。
 今回のJアラートの発動を想定した国民保護サイレン一斉再生訓練につきましては,国民保護サイレン放送を広く市民に知っていただくことを主な目的とし,命を守り被害を最小限に留めるために必要な避難行動を確認していただくために,実施したものでございます。
 訓練の計画につきましては,神奈川県から昨年11月に参加の有無についての照会があり,庁内で検討するとともに,近隣市町の動向を注視しながら,訓練に参加することを決定いたしました。参加決定後は,県及び各市町村との協議を行い,訓練内容について調整し,計画を策定いたしました。
 訓練実施に対しまして市民からは,主にメール等により,「安全確保のための訓練は必要である」など肯定的な内容や,「いたずらに不安をあおる」などの否定的な内容など,現在まで144件の意見をいただいております。
 訓練の総括といたしましては,市民や市職員が実際の国民保護サイレン音を聞く機会ができたこと,また,万が一の場合に備えての避難行動について確認する機会となったことから,当初の目的は達成できたものと考えております。
 課題といたしましては,「いたずらに不安をあおる」「訓練の意味がない」などのご意見をいただいておりますので,今後も,各地区総合防災訓練等さまざまな機会を捉えて,国民保護サイレン音を市民へ伝えられるよう努めてまいります。
 今回の訓練は,防災行政無線及び防災ラジオによる放送でございましたが,防災行政無線につきましては,訓練放送ということもあり,通常の防災行政無線の音量で実施したものでございます。今回の訓練のような事態が万が一,発生した場合には,防災行政無線からは最大音量で,複数回放送すると共に,防災安全部による庁内放送を活用し,来庁者や職員の安全確保のための放送を行うこととしております。
 また,本庁舎には,防災行政無線の戸別受信機が8機設置されており,今回の訓練放送はしておりませんが,有事の際には,この戸別受信機からもサイレン音を補完して放送いたします。
 本訓練は,防災行政無線で国民保護サイレン音を聞いていただくことを目的とし,命を守り被害を最小限に留めるために必要な避難行動の確認のため実施したものでございます。このことから,放送文の内容につきましては,神奈川県からの文章例を参考に,内部で調整を図り,広報ふじさわ,回覧板等において,周知した上で,本市独自の内容で放送を行いました。
 実際にミサイル攻撃や航空攻撃等があった場合の対応マニュアルにつきましては,藤沢市国民保護計画資料編に,弾道ミサイル攻撃に際しての国民の保護のための措置の実施における対応を示しております。具体には,警報及び避難の指示,避難住民の誘導,救援等の活動により,市民の安全を確保することになっております。その中で,武力攻撃災害への対処においては,災害現場における通常の対応とともに,警報及び避難の指示等や,立ち入り禁止区域・消防警戒区域の設定等を行い,特殊な武力攻撃災害への対応,活動時の安全の確保に留意しながら警察や自衛隊などと,相互に連携して,対応してまいります。
 実際の有事の場合におきましては,職員はまず来庁者に身を守る行動をとるよう呼びかけるなど,市民の安全確保を最優先とする対応をとることとなっております。
 今後の訓練につきましては,今回の課題も踏まえたうえで,万が一の場合に備えての避難行動に備えることを念頭に,各地区総合防災訓練など,様々な機会を捉えて,市民の安全安心につながるよう取組を進めてまいります。
 ≪回答②≫(関口財務部長)
 建物における消防計画につきましては、消防法により建物の供用開始後に作成し、消防署へ提出することとなっております。
 本庁舎における消防計画につきましては、これまでの消防計画を準用しつつ、本庁舎供用開始後における実際の人の動きと消防設備及び避難経路等を鑑み、本庁舎機能にあった消防計画を関係課との調整を図りながら、現在、作成しているところでございます。
 作成までの間につきましては、職員に対して災害発生時にはどのようなアナウンスが行われるのか、また非常口を確認することなどを周知し、災害時の体制を整えております。 
 また、防災訓練につきましては、消防計画を作成後、関係課との準備を進め、早い時期に実施したいと考えております。