利用者市民を危険に曝す藤沢市の新庁舎管理体制
新庁舎の供用開始から2か月以上。防火管理者を届けていなかったこと、消防計画を策定していないことは消防法違反に違いありません。
消防法を知らずとも、新しい建物を供用するに際して、利用者の安全を確保するのは施設管理者の義務であることは当たり前過ぎる常識でしょう。安全を確保するために通常何をしなければならないかといったことは、当然、指導的立場にある市当局は知っていなければならないし、市役所には様々な分野の担当者が協働しているのだから、誰かが勘違いしていたり思い過していても、それを補いあって一定の自律性を有しているのでなければ組織としては破綻していると言って過言ではありません。まして、本庁舎という市政の本体、もっとも市民の利用する建物の、安全管理上の義務が果たされていないというのは、あまりに致命的。無責任の骨頂です。
「建物における消防計画につきましては、消防法により建物の供用開始後に作成し、消防署へ提出することとなっております。本庁舎における消防計画につきましては、これまでの消防計画を準用しつつ、本庁舎供用開始後における実際の人の動きと消防設備及び避難経路等を鑑み、本庁舎機能にあった消防計画を関係課との調整を図りながら、現在、作成しているところでございます。」(財務部長)
月曜日に行った代表質問は管財課が答弁調整を行い財務部長が答弁しましたが、市の危機管理意識の低さ、自律性のなさを物語っています。
昨日総務省消防庁にも確認しましたが、市庁舎のような多数の者が出入する防火対象物の管理者(市長)には供用開始時点で防火管理の義務があり、防火管理者を定めた上で消防計画を作成しなければなりません(消防法8条1項)。防火管理者を定めたときは、遅滞なく消防署長に届け出なければなりません(同条2項)。こうしたことは消防署が指導するべきこと(同条3項4項)ですが、藤沢市消防局は昨年度に資格取得が必要な防火管理者の指定を滞りなくするよう指導はしていたものの、新庁舎が供用開始されて以降も届けられていない認識がなかったようです。
藤沢市の危機管理を所管する部署はその名も危機管理課。同課の課長は市消防局から市長部局への出向者です。にもかかわらず、「消防法には消防計画の作成時期に関して明確ではないから、現時点で作成できていなくても消防署としては指導する立場にない」という誤った認識を一昨日時点でも持っていました。供用開始前に防火管理者を届け出て消防計画の作成など防火管理上必要な業務を履行する義務をはたすよう指導命令するのは消防局のするべき職務です。
代表質問の無責任かつ誤った答弁は、今後の消防局の任務に支障をきたすことは必至です。消防局が属する市が、消防計画は供用開始後に作成すればいい、これまでのものを準用していればいい(藤沢市所有の施設で新庁舎は過去最大規模で準用できる例は皆無)、と表明したのですから、自らを棚に上げて民間のビル管理者に対して供用開始前までに防火管理の義務をはたすのがビル管理者の責務だと指導したところで何の説得力もありません。もしかしたら藤沢市消防局は常にそうした指導をしていないのかもしれません。消防局の査察指導課長も消防計画作成義務の時期に関して曖昧なことを言っていましたから。消防法の実施機関としての怠慢もしくは欠陥があるということではないでしょうか。
本来ならば、防火管理の義務が果たされていないのですから、建物の使用を止めなければならないような重大事態です。しかし、指摘されてもなおそうした危機感がないのが情けない限りです。指摘されて気が付いたのであれば、非を認めたうえで作成を急ぎ、なぜこのような不特定多数の市民を出迎える本庁舎の安全管理上の基本中の基本が欠落している事態が生じたのかといった市役所の体質上の問題を検証し改善を図るべきところ、答弁調整に一週間ほども掛けているにもかかわらず上記のような答弁を平気な顔してできるその精神が理解できません。まさに自浄能力がない。
市庁舎では従来管財課長が防火管理者となっています。昨日、消防局長に是正をはかるように要請したところ、本日、査察指導課が管財課を訪れ、防火管理者の届けは本日付けで出されたとのことです。消防計画も近日中に提出するというのですが、提出するだけでなく体制づくりを急がなくてはなりません。
消防法