公共政策の倫理学(旧地方自治の倫理学)

元藤沢市議酒井信孝のブログです。

低投票率が公共の私物化を招く

藤沢市議は36人。有権者数は約36万人。すなわち、有権者1万人当たりに1人程度の議員がいると言うことです。
 一人一人の議員が全体の奉仕者である必要はなく、多様な市民ニーズに対応するためにも多様な議員がいるに越したことありません。しかし、低投票率で、6割以上の有権者が投票に行かない現状。棄権した6割以上の有権者にとっては、誰が議員になっても構わない、と言うことかもしれませんが、その結果、4割弱でしかない一部の有権者の方を向いた議員が多くなるのは必然です。
 一方、無効票1836票と落選候補に投じられた票の合計12727票は死票となってしまったわけですが、これらの票をあえて投じた有権者にとって、余人を以って替え難い候補者であったのであれば、必要とする議員を得られなかったということになります。しかし、これも議会制民主主義における選挙の宿命です。必要とするのであれば、当選させるべく、単に自分が投票するのみならず、選挙運動で多数の票を集め、自分たちにとって必要な議員を生み出さなくてはなりません。
 それにしても、参政権を放棄している6割強の人々も、納税を通じた自治体への出資者であるわけですが、その使われ方に無関心でいられるものなのでしょうか?大部分で公益に適っている、と信じて放任しているということや、特権的な役得は致し方ない、と諦観しているのかも知れません。私としては、議員として知りえた情報はできる限りを共有し、知ったうえで主体的に参政権を行使してもらいたい、との思いで、政党に匹敵するレベルで市議レポートを配布してきました。しかし、寝た子が起きないことは、既得権を握っている側にとっては都合がいいわけです。問題の先送りによって、問題は蓄積します。破綻に至らなくとも、陰で犠牲になっている人がいるのであれば、常に問題に向き合っていくべきです。当選した中に、藤沢市政の膿を出す役割を担える議員がいることを願うばかりです。