公共政策の倫理学(旧地方自治の倫理学)

元藤沢市議酒井信孝のブログです。

自浄能力なき役所と議会~防火管理義務違反の衝撃~

消防局の消防法誤解釈や市内全域で防火管理義務違反が横行していたことは、私にとっては衝撃的で、許し難いことでした。(皆様はどのように受け止められましたでしょうか?)
 新しく商業施設などがオープンすれば、不特定多数の人々が殺到し、火災や事故のリスクが高まります。一般的な市民感覚からすれば、そうしたリスクに備えた万全の体制は、整えられているのが当然です。
 火災発生時に適切に避難誘導したり、延焼を最小限に食い止めるための消防計画を作成し、リスクに備える義務。そうした防火管理の責任者を選任する義務。これらが防火管理義務です。
 しかし、平成29年度に藤沢市内で新たに防火管理義務が発生した建物41件中40件で供用開始時(オープン時)に義務が履行されていませんでした。これら40件の中には市役所新庁舎も含まれます。さらに過去5年間に整備された公共施設15件を調べさせたところ、14件で供用開始時に防火管理義務が履行されていませんでした。
 長年に渡り、藤沢市域では、新しくできた不特定多数が利用する建物のほぼ全てで防火管理義務違反が常態化していたのです。
 原因の根本は、藤沢市消防局の消防法誤解釈。消防法には、いつまでに選任、作成と書いていないことから、供用開始前にできていなくとも消防法違反とは言えない、と思い込んでいたのです。供用開始時に防火管理義務を履行していなければならないのが法の趣旨であることは、消防法を所管する総務省消防庁に問い合わせてすぐに確認できましたし、正常な思考能力を備えていれば、一番リスクの高まる供用開始時に万全を期すべきことは自ずと判断が付きそうなものです。しかし、建物管理者側の都合で、手間が掛かることを後回しにしているのを、消防当局までもが許容していたわけです。
 公共施設の場合、防火管理者を選任する義務を負っている管理権原者は市長もしくは指定管理者の代表です。防火管理者の届出義務違反には30万円以下の罰金もしくは拘留といった罰則があるほどですが、誰も責任をとっていません。
 昨年、新庁舎における違反を見出して以来、私は、ほぼ1年間に渡って市長や消防局の責任を追及しました。市は誤りを認め、消防局の査察体制も、供用開始時に万全を期すのが当然である、との認識に改まったことは議会において確認しています。しかし、こうした社会的な信用、安全、安心に関わる失態があったことに関し、議会答弁以外において市民に対する市当局からの公式な説明や謝罪は一切ありません。検証や処分、再発防止、といった過ちを繰り返さないための組織としてなすべきことも一切やっていないというところに、さらなる根本的な問題があると思わざるを得ません。そして、これほどの問題に対し、私以外の議員が誰一人として言及しない藤沢市議会の異常さが、この先どうなっていくのやら、、、