公共政策の倫理学(旧地方自治の倫理学)

元藤沢市議酒井信孝のブログです。

差別と区別の混同 続柄情報の有用性

 嫡出子差別撤廃のために、①出生届から嫡出子、嫡出でない子の選択欄の廃止、②戸籍における続柄記載の廃止、これら2点のための戸籍法改正を国に求める意見書の採択請願があったのですが、私はただ一人反対しました。

 出生届に関しては、事務的届け出であって、事務効率に寄与しているとは思うものの、事務当局からそれほどの必要性はないとの答弁があったので、この欄が苦痛を与えるというのなら廃止した方がいいと思います。

 一方で、戸籍における続柄記載は、子ども本人にしてみれば自分のことを知る手掛かりでもあります。自分に関する情報です。親からしてみれば子どもに隠しておきたいことがあるのかも知れませんが、もし戸籍にその情報がなければ、子どもにとっては自分について知ることのできる情報が減ることになります。

 下記の参考資料のような場合は、兄が結婚して除籍したというのでなく、長男が記載されていないのに、いきなり二男が現れるということが起きるのです。続柄記載がなければ母親の戸籍謄本を取得しないかぎり長男の存在に気がつくことはまずないでしょう。

 あくまで、差別をはじめとする暴力は許さない、のが私の政治信条ですが、そうした差別や偏見は表出しなければいいというものではなく、差別心自体をどうにかしなくてはならないと常々思っています。隠したところで実際の被害はなくなりません。どのような両親から生まれたとか、続柄とか、それは変えられない事実そのものであって、隠そうにも隠せるものではないし、あえて表明するようなものでもありませんが、隠す必要もありません。それをどのように捉えるのかが問題なのであって、そんなことをもって人を差別するような思考の持ち主は、自らの差別心を自覚して自制すべきなのです。差別があって不利益をもたらすようなことは厳罰に処すべきです。寝た子を起こさないようにしても、何かの切っ掛けがあれば起きてしまうのです。起きたとしても、暴れることを許さない規制をすることが必要なのです。

 続柄の起源は、請願理由にあるように、差別制度である家督相続のための序列を明確にするためだけではないでしょうし、例えそうだとしても別の価値もあるのであれば、差別制度はなくなったのだからなおさら残した方がいいと思うのです。特に、親の都合より、子どもにとっての価値を優先するべきだという理由から、本請願には反対しました。

請願

https://drive.google.com/open?id=0B2vSue499zD0M2R2MzRSclNMQUE

参考資料

https://drive.google.com/open?id=0B2vSue499zD0U3FndU42QlZvd2M