公共政策の倫理学(旧地方自治の倫理学)

元藤沢市議酒井信孝のブログです。

世界を裏切る日本の核兵器禁止条約不参加

日本の本気が問われている。
日本はさんざん、唯一の被爆国として、被爆体験を語り継ぎ、核廃絶を国際社会に訴えてきた。
本来であれば、核兵器禁止条約(*1)をどこの国よりも主導していてもおかしくない。
日本国民の多数はそれを望んでいる(*2)。
しかし、日本政府は、核兵器禁止条約を否定し、核拡散防止条約(NPT)体制下の核軍縮を支持している。
はたして、日本政府は本当に核兵器を廃絶したいのか?
 
NPTには軍縮交渉をすることが謳われているだけで、核廃絶に向けた具体策は何もない(*3)。
NPTは核保有国の既得権を認める不平等条約だ。それが核廃絶のための現実路線だと信じて甘んじてきたわけだが、既得権者は既得権を手放さない。NPTは不平等な国際関係を固定化する機能を果たしている。そして、日本は既得権者である米国と軍事同盟を結び、既得権を享受している。
日本は周辺国の脅威を理由に、核の傘にまで入り、軍拡競争をしている。
しかし、そうやって、周辺国の軍事力と均衡がとれなければ安心できない、と言って最高レベルの軍事力に強化しているような国がどれほどあろうか?
日本国は「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」はずなのに、トップレベル(2020年の世界ランキングは第5位!)の戦力を保持している(*4)。世界平和のために、率先して戦争を放棄し、率先して軍事力を保持しない、はずだったのに、どこの国にも負けず劣らず利己的で、臆病で、他国を信頼できず、率先して軍事力を強化してきた。
 
言っていることとやっていることがあまりに乖離している。
まるで詐欺師じゃないか!
 
(*1)核兵器禁止条約(核兵器廃絶日本NGO連絡会)
日本が核兵器禁止条約を締結するには、当然、日米安保条約を解消し、核の傘を捨てなくてはならない。
 
(*2)首相、核兵器禁止条約参加に4年連続ゼロ回答 民意と向き合わず(東京新聞
 
(*3)核兵器の不拡散に関する条約(国立研究開発法人日本原子力研究開発機構核不拡散・核セキュリティ総合支援センター)
 
(*4)世界の軍事力ランキング トップ25[2019年版](Business Insider Japan)
2020 Military Strength Ranking