公共政策の倫理学(旧地方自治の倫理学)

元藤沢市議酒井信孝のブログです。

PFOS汚染 被害拡大を放置する行政の無責任

www.jetro.go.jp

記事には、米国環境保護庁は、これまで水道水1リットルの含有量はPFOA・PFOS合算で70ナノグラム以下を安全基準としてきたが、PFOSは0.02ナノグラム、PFOAは0.004ナノグラムに変更。その理由を「最新の科学的見地を踏まえ、生涯にわたって摂取し続ける影響を考慮し決定した」「ゼロに近い量でも健康に悪影響を及ぼす可能性がある」と説明している、とあります。
検出できないレベルでも危険だと明確化している点が誠実であるとともに深刻さを物語っています。
科学的見地は様々あれど、科学というからには根拠に関しては共有できなければなりません。いまだ日本では基準の見直しがされていないのは科学的見地の違いなのか、無責任なだけか。
以下に多摩地区の有機フッ素化合物の検出状況が出ています。

https://www.waterworks.metro.tokyo.lg.jp/files/items/31227/File/tama_pfcs_R4Q3.pdf

4ページを見ると、国立市の浄水は検出限界の5ng/L以下ですが、原水は10ng/L以上が検出されています。検出限界以下がどの程度なのかわかりませんが、他の浄水施設で浄水でも検出されていることからすると浄水能力にも限界があるわけですから、原水が汚染されている以上、検出限界以下であっても米国基準を満たしているとは到底思えません。
また、原水が汚染されているということは、同じ河川水を元としている農業用水が汚染されていないわけはありません。植物がPFOSをどの程度蓄積するのかはわかりませんが、植物がPFOSを取り込まない仕組みがないのであれば、少なくとも植物に含まれる水分が同程度に汚染されているであろうことは推測できます。
東京都も国立市も農産物や農業用水の検査はしておらず、する予定すらないそうです。
地産地消を推奨している自治体の責任としても、国の動向を伺うだけで様子見している現状は無責任に過ぎます。