公共政策の倫理学(旧地方自治の倫理学)

元藤沢市議酒井信孝のブログです。

先の議長選挙で藤沢市議会では秘密投票を担保するために記載台を導入した。それに対しても民主クラブの議運委員は異議を呈した。しかし、その理由は、時間がかかる、みっともない、必要ない、といった極めて横着なもので、無記名、秘密投票であることの意味を完全に無視している。
 さらに、同委員は投票に際して立候補者以外の名前を書くことへの不快感も発言した。
 以下の解説を読めば、これらの意見が如何に軽薄で、民主主義を蔑にしているかが理解できる。民主主義を担保するには過程の手間を省いてはならないのである。
ウィキペディアより>
 秘密投票には、選挙人に対する干渉を防ぐ目的がある。 逆に投票の秘密が保証されない場合、投票先指図などの脅迫・強要、開票結果による報復、または買収・贈賄につながりかねず、正当な選挙が望めなくなる。 自書式投票の秘密投票では候補者(比例選挙の場合は政党名)に他事記載をした票を無効票としている。
奈良市議会ホームページより>
 議会における正副議長選挙については地方自治法第103条において議員の中から正副議長1人を選挙することが定められ、その手続きについては第118条において公職選挙法の規定のうち、
・ 候補者1人の記載(第46条第1項)
・ 無記名とする秘密投票(同第4項)
・ 代理投票(第48条)
・ 投票の無効原因(第68条第1項)
法定得票数による当選人の決定等(第95条)
の規定が準用されている。
 立候補の規定は準用されておらず、したがって正副議長選挙を立候補制により行うことは法の担保のないこととなる。
 他の市議会では、立候補に伴う所信表明演説は本会議の休憩中に行うなど非公式なものとして扱っている例がある。
 議員全員が候補者であるので、立候補しなかった議員の氏名を記載した投票を無効としたり、立候補しなかった議員で法定得票数が最多となった者を当選人としなかったりすることはできない。候補者の資格を立候補により制限したり条件を付することは問題があり、選挙においては立候補を表明した者以外の者が排除されないことが前提となる。