公共政策の倫理学(旧地方自治の倫理学)

元藤沢市議酒井信孝のブログです。

一般質問を行いました。
https://docs.google.com/viewer…
議会行事におけるセクハラ事案を取り上げました。
別に当該議員らに恨みはない。
むしろ日常的には親近感がある。
こんな話はできることなら触れたくない。
彼らも被害者かもしれない。
でも、さらに弱い立場を蔑ろにするハラスメントは、見過ごすわけにいかないのである。
以下、質疑答弁全文です。(議長より発言の取り消しの依頼があり、発言取り消しの手続きを取ることとなったので、6カ所ほど削除しました。)
件名 1 人権施策について
要旨 (1) 職場環境のセクハラ防止について
 何気ない日常に潜んでいる暴力、ハラスメント、すなわち、嫌がらせやいじめ、というものは、悪意がなくとも加害者となってしまうことがありますので、常々、わが身を振り返り、自省しなければならないと思っています。また、様々な場面で、人知れず辛い思いをしている人がいるようなことに気がついたとき、すなわち、わが身に置き換えた時に辛さを共感できる場合、そうした辛い思いが生じない社会にしなければならないとの思いから、問題に向き合い、問題を取り除けるように、できるかぎりのことをしよう、と常々心掛けています。
 2カ月ほど前の7月31日、姉妹都市である松本市の議会の皆さんが藤沢にお越しになり、議会同士の親善交流事業が開催されました。その第二部、市政交流会は会食を伴うパーティのようなものでしたが、その仮設の舞台において、藤沢側の出し物として、芸人グループ『ブルゾンちえみ with B』のお笑い芸『キャリアウーマン』を真似た出し物がありました。『ブルゾンちえみwith B』と言うのをご存知でしょうか?インターネットなどで動画検索すると出てきますし、様々なテレビ番組に出ており、かなりな人気を博しています。そうした意味では、時事ネタと言えなくもありませんが、これが公費も支出されている藤沢市議会の公式行事で実演されました。3名の女性議員がブルゾンちえみに扮し、その横で男性議員2名がwith B役を演じました。私もその場に居合わせましたが、ある種のショックを受けました。エンターテイメントとしてどうこう言うつもりはありませんが、これを公的な場でやるということが、私の感覚ではアウトです。イベント等で予告されているのを、好き好んで見に行くのであれば問題ないでしょうが、ダンスの後に、男性役がワイシャツを脱ぎ棄て上半身裸になる場面もあり、様々な人がいる前で、予告なくこれをやると言うことは、交流している両市議員は相手市への配慮からそこに居ざるを得ないし、居合わせた議会事務局職員や市職員、ホテル関係者は業務上、なおさらそこにいることに強制力がはたらいていたわけです。
 主催していた議会側の責任が第一ではありますが、今回これを市の事務について聞くべき一般質問で取り上げているのは、この親善交流会が、公費を支出している公式行事で、業務として議会事務局職員が会場運営に携わっており、また、市長も来賓として来られている中での出来事だったからです。藤沢市の人権施策推進指針に照らして、職員の人権を守るための職場管理に問題があったのではないか、との私からの指摘に対し、市当局はどのように問題を認識したのか?職員の職場環境の適正のために管理職を人権施策推進責任者及び人権施策推進担当者として割り当てているのであるから,それら担当者は今回の事例でどのような役割を果たしたのか?果たすべきであったのか?市の見解をお答えください。
≪回答①≫(渡辺企画政策部長)
 酒井議員の一般質問にお答えいたします。
 本市では,一人ひとりの市民が尊重される社会の実現をめざして,平成19年2月に「藤沢市人権施策推進指針」を策定いたしました。
 平成28年3月には,社会情勢の変化や新たな人権課題等を踏まえてこの指針を改定する中で,「人権を大切にし,『人権文化』を育むまちづくり」の基本理念のもと,あらゆる施策に人権尊重の視点を取り入れ,総合的に人権施策を推進しております。
 実効性のある人権施策の推進には,職員の高い人権意識と効率的な推進体制の整備が重要であり,各課等の長を人権施策推進責任者として,課長補佐級の職員を人権施策推進担当者としてそれぞれ配置し,人権施策の推進及び人権啓発に取り組んでおります。
 人権施策推進責任者及び人権施策推進担当者におきましては,人権感覚を磨き,ハラスメントのない良好な職場環境づくりに努めているものと認識しております。
 今後とも,ハラスメントを含めた様々な人権課題について研修の充実を図り,職員の人権意識の向上に努めてまいります。
≪質問②≫
 議会事務局職員は市職員が出向しており,職員は藤沢市人権施策推進指針を遵守することとなっています。議会事務局職員が業務上携わった松本市議会と藤沢市議会の市政交流会について問題としているのであり,それら職員の職場環境が適切に管理されていたのかを問うているのです。また,議会事務局職員のみならず,ブルゾンちえみを真似た芸の後、本市マスコットの『ふじキュン』が登場し、『キュンダンス』を踊っていました。その際、シティープロモーション課の3名が業務で駆けつけキュンダンスのインストラクトなどしており、それら職員の業務環境としても同様に問うているのです。
 第一に,本市職員に対するセクハラがあったのではないかという問題提起が,セクハラの加害者や被害者といった当事者以外の第3者からなされたとき,当事者は業務上の関係などによって本心を打ち明けることは難しいのであるから,当事者がどう感じたかどうかの聞き取り以前に,事実関係の確認をする必要があります。私が指摘した後、事実関係を把握したのか?
いかように問題を捉え,再発防止も含めどのように対処しているのか?業務環境の労働衛生管理上の使用者責任として問題はなかったのか?お答えください。
≪回答②≫(黒岩総務部長)
今回の事案については,明確にハラスメントがあったとの確認はできませんでした。したがいまして,総務部といたしましては,職員がハラスメントを受けたことによる対応や,個別のハラスメント事案としての事後の対応は行っておりません。
また,職員の安全及び衛生管理上の問題もなかったと認識しております。
本市では,「藤沢市職員の職場におけるハラスメントの防止等に関する要綱」及び,ハラスメントの具体例を挙げた「指針」を定め,その防止に努めております。
また,相談窓口として職員課のほか,メンタルヘルス等の相談窓口でもある外部機関の紹介も行っており,職員からハラスメントに関する苦情・相談があった際には,適切に対応しております。
<意見>
 今回の事案において、議会事務局職員の人権を守るのは、第一義的には、当然議会の責任です。私も議会の一員として、こうしたことを防ぐことができなかったことの非力さを痛感し、申し訳なく思っています。しかし、サプライズでなされた今回の出し物を事前に知っていた議員も限られており、事前に予防することはできなかったわけですので、今後は、少なくとも自分たちの側の出し物を自分たちの側の関係者にも知らせないというのは、もてなすための出し物で、自分たちが楽しむための出し物でないわけですから、事前に十分検討の上行わなければならないと私は思っています。
 一方で、議会事務局職員は市の職員であって、出向先でも人権が守られるようにするのは使用者である市の責任だと思います。今回の件では、事前の打ち合わせで何をやるのかを把握することはできなかったようですが、少なくとも事後的な対応としては、セクハラ被害を訴える職員が居なくとも、セクハラ被害を生じうる事態であった場合は、再発防止に努めるべきです。 しかし、先ほどの総務部長の答弁からは、事実関係を把握した上で、セクハラ事案であるとの認識はない。労働衛生安全管理上の問題もなかった、とのことでした。職員課の課長と話した中では、今回のことは芸、すなわち出し物、であるから労働衛生安全上の問題はない、使用者責任はない、といった見解もお聞きしました。こうした考え方は極めて問題だと私は思います。芸だからと言って、予期せず、男性の上半身裸を見せられる場面に従事しなければならないことがあり得る職場であるのなら、そんな屈辱には耐えられない、として、市の職員にはならない、もしくはなれない、という人がいてもおかしくありません。人権感覚は様々ですから、できるだけ弱い側に寄り添い、弱い立場こそ守らなくてはならないと思います。今後とも、こうした事案を見て見ぬふりせずに向き合っていきたいと思います。