公共政策の倫理学(旧地方自治の倫理学)

元藤沢市議酒井信孝のブログです。

藤沢市防球ネット転倒事故の謎

<謎①>
事故発生時刻が一致していない

資料①(4月28日付)17時00分ごろ、資料③(5月17日付)17時10分、資料④(6月3日付)17時5分、資料⑤(8月19日付)17時5分

<謎②>
事故発生後対応の曖昧さ

 資料③には、17時10分事故発生後の対応として「野球部外部コーチが保健室まで連れてくる。(本人歩行)途中トイレで嘔吐。保護者へ連絡。17:25救急車要請 17:45(黒塗り)」
 資料④事故発生後「ベンチで休憩をとっていたが、気分が悪くなりトイレで嘔吐した為コーチが付添い保健室に連れて行った」「すぐに横にさせ救急車を要請、そのまま入院となった」
 資料⑤には17時5分事故発生後「事故後しばらくその場で横にして様子を見たが吐き気が生じたためグランドのトイレで1回嘔吐した。その後コーチと生徒は保健室へ向かった。保健室ではコーチが「風で防球ネットが倒れそばにいた(黒塗り)の頭に当たりました」という。養護「とにかく座ってどこにぶつかったの?何分くらい前ですか?」「5分くらい前」後頭部のやや右側に当たったと思われる。(黒塗り)17時13分頃職員数人到着(校長・教頭・(黒塗り))頭を打っているので検査受診の必要を報告。吐き気を訴え再度嘔吐(胃液)。母親に連絡するが連絡がとれない。救急車の要請を校長へ依頼。校長が教頭へ救急車を要請するよう指示。教頭は17時30分ごろ救急車を要請。5分後救急車到着。救急隊員が保健室へ。首を固定し17:45(黒塗り)へ搬送のため発車。」

⇒本当に事故後、迅速・適確な対応が取れたのか?資料④には「ベンチで休憩」とあるが、資料⑤には「その場で横にして」と変遷している。事故発生から職員数人が保健室に到着するまではもっと時間が掛かっているのではないか?頭を打ったことが明らかであるなら、本来は動かさずに養護教諭または救急隊を現場に呼ぶべきではなかったのか?一回目に吐いた時点で救急車を呼ぶべきで、教頭が要請するまでに時間が掛かりすぎているのはなぜか?

<謎③>
防球ネットの大きさがバラバラ

 資料③には高さ2000㎜×幅3000㎜とあるが、資料④と資料⑤には2m×2mとある。にもかかわらず、資料⑤の添付写真には資料③と同じ2m×3mの写真が使われている。

⇒間違っていたのであれば訂正するべきだが、していない。
⇒本当は2m×3mなのではないのか?風で倒れたことにするために倒れやすそうな2m×2mということにしたのではなかろうか?と疑いたくなる。

<謎④>
事故の検証がなされていないのに、強風が原因だと断定

 事故発生時に現場には外部指導コーチしか練習に立ち会っておらず、防球ネットが倒れた時コーチはどこにいたのか、倒れたところを目撃したのかも不明。にもかかわらず、警察や消防に通報することもなく、事故検証の第三者委員会を設けることもなく、強風で倒れたと断定している。

<謎⑤>
製品の欠陥のあるなしがまったく検証されていない⇒杜撰な再発防止策

 事故の前も後も、購入製品の取り扱い説明書の保管がなく、独善的な安全管理に終始。
 事故後も、取り扱い説明書の確認やメーカーへの問い合わせをせずに再発防止策を策定。土嚢の重さや数も現場任せ、緩衝材もより風を受けやすくなる可能性があるなど、科学的根拠がなく、自己満足に過ぎない。
・強風時は使用しない→強風・突風がいつ吹くかは予測できない。注意報を把握する手段がない。(吹流しを設置すればいい)
・使用時は土嚢で固定→現在、メーカーが耐力15㎏のクイを4本の脚に設置するとして販売しているのに、15㎏以上の土嚢を各脚にのせる、といった最低限の基準すらない。(2015年以前はクイがセット販売されていない。2015年以前に購入した防球ネットを使い続けるのであれば改めてクイを購入するべきだ。また、メーカー側が取り扱いの変更を案内するなど、製造者責任を果たすべきだが、まったくそうした動きはない。)

 消費者庁への通報もしていないために、市関係者以外と事故事例の共有ができていない。

<謎⑥>
過失を認めながら責任の所在不明、処分なし

 資料⑤には「当日、強風注意報(後で確認)が発令されていたが、土のうなどで固定せず使用していた。以前強風時に倒れることがしばしばあったが、怪我につながっていなかったことから安全管理の意識が甘かった。」と管理責任の過失を認めているのに、誰の責任も問われていない。
 少なくとも、教育委員会の指導・監督責任、学校長の管理責任、外部指導コーチの監督責任が問われなければならない。

<謎⑦>
議会の追及が一切ない

 事故発生後、2012年6月のこども文教常任委員会などで市当局からの報告もあったが、議員の追及は2016年以降の私のみ。

<謎⑧>
再発防止策が完全に形骸化

 再発防止策が形骸化しないような仕組みが一切なく、賠償調停が進行している最中、そして賠償額が確定し議会上程している最中、にもかかわらず再発防止策が完全に形骸化しているという再発防止意識の完全なる欠如。自覚のなさ。