公共政策の倫理学(旧地方自治の倫理学)

元藤沢市議酒井信孝のブログです。

体罰の実態把握に関する調査への提言

平成 29 年度の「学校生活全般における体罰の実態把握に関する調査」の結果を見ると、教職員からの回答に自己申告の1件があったのに対し、児童生徒及び保護者からの回答で体罰が確認されたのが10件もある。この10件に自己申告の1件は含まれていない。また、今年3月に発覚した体罰事案は、被害児童が複数に及び、半年以上前から繰り返されていたことが報告されている。

平成 29 年度「学校生活全般における体罰の実態把握に関する調査」
https://drive.google.com/file/d/12i9Gy2-UZB3x3tJCGYYlS-FuewfxeDz8/view?fbclid=IwAR1Ft4x_zMkQr_GSZEIqOlOz1EuN4Th4vj2GlFQyBL433jndHirM-Pp6WEE

藤沢市立小学校における体罰事案について
https://drive.google.com/file/d/1DqfdxTY5dZ1VLE4HT7yDSsJZanFFr6C_/view?fbclid=IwAR0wclMfS9y35aSyqdivSG4bLagZCTgSnHqNmqMHr_65NYn3ac8bLuIqyLs


昨年度の「実態調査」は今年1月に行われたにも関わらず、3月発覚事案は調査に反映されず、学校は見逃していたのである。すなわち、潜在している体罰がいくらあっても不思議ではない。こうした現在の体罰調査」の限界が浮き彫りとなっているのに、なんら改善を図っていないことが議会答弁で明らかとなった。3月発覚事案の教員は、昨年4月からの再任用で、それまでは他の学校で長年勤務していたにもかかわらず、過去に遡って体罰事案があったのかも調べていない。藤沢市教育委員会も、組織としての基本的なPDCAサイクルが備わっていないのである。

体罰調査」では、言葉の暴力についても2件の訴えがあった。事実関係を確認できた1件では、「死ね」と教員に言われたのだという。当然、教員はそんなつもりはなかったと言い訳したとのことだが、こうした生徒の訴えも「体罰調査」でようやく出てきたのであって、暴言があったその時点で相談できていれば事実関係をはっきりさせることができたかもしれない。スクールカウンセラーを配置したり、学校生活アンケートを年に3回やっているとは言うが、実際に子どもが傷ついた時に相談ができる体制が、少なくとも事案のあった学校では不十分なのである。

過去の体罰がトラウマとなっている被害者も多い。暴行罪の公訴時効は 3 年なので4年以上経って暴行罪に問われなくとも、現職教員であれば事実関係を本人に確認することもできる。体罰経験のある教員にしても、過去に向き合い、謝罪・反省し、過去を清算した上でなければ、うしろめたさが残り、教育者として堂々とやっていけないだろう。大体において、過去に向き合えない者が同じ過ちを繰り返すのである。過去の体罰被害についても、特段に窓口を設けて取り組むことが、今後の体罰撲滅に繋がると私は提言した。現状としては窓口はないものの、教育委員会で受け付け、調査を行っているとの答弁があった。

2018年9月定例会決算本会議質疑要旨⑤ 体罰調査について https://drive.google.com/file/d/182n1fjuB3tUxkJNxf5aij5-qZZx2XjHY/view?fbclid=IwAR1ZfDJnRfJcj67bNb4epSJr_IiP-OicoR_qCTdGN6p4vipWxbQDNf0CeWY