公共政策の倫理学(旧地方自治の倫理学)

元藤沢市議酒井信孝のブログです。

次亜塩素酸水無料配布事業の欺瞞

 藤沢市では「除菌用」と表示して微酸性次亜塩素水の無料配付が継続されていますが、「除菌用」とは、なんとも無責任(責任逃れ、卑怯)な表現です。
 
「極論水洗いで手を洗っても除菌と言えます。
「除菌」という表現は、アルコールスプレーや洗剤、漂白剤などの雑貨品表示でよく使われていますが、これは薬事法上、医薬品や医薬部外品ではない製品ではたとえ殺菌や消毒効果があっても「殺菌」や「消毒」を謳えないためです。」
  
 電話で聞いてみたところ、藤沢市の言い分としては、新型コロナウイルスへの効果はNITEが検証中だが、インフルエンザウイルスやノロウイルスには有効であることから、アルコール除菌の代替としての利用を想定している、とのことです。
 すなわち、新型コロナウイルスの感染予防のためではなく、新型コロナ以外の除菌、消毒のために、アルコールの代替として配布している、ということなのです。
 これは、かなり、一般の市民に誤解を与えているのではないでしょうか?
 アルコールの代替として、と言われれば、アルコールには新型コロナウイルスの感染予防効果があるから品薄になっているわけで、アルコールの代替と言うからには新型コロナウイルスの感染予防効果も同様にあるものと思うのは当然のことです。
 確かに、当初は「新型コロナウイルスがインフルエンザウイルスと同様の構造であることから、効果があると推定」(市ホームページ)して配布したのは、対処療法としては致し方ありませんが、検証が進み、望み薄、新型コロナの感染予防としての有効性は低い、という中間結果が出たことで、無料配布していることの目的が変わったということです。
 こうした経緯を説明することなく、知らないうちに文言を修正して、平然と配布事業を継続しているために、誤解が生じているわけです。
 
 市の広報ページには、6月2日時点では「使用方法」に「手指を消毒する場合」「人の手がよく触れる箇所を消毒する場合」との記載がありましたが、現在は「手指に用いる場合」「人の手が良く触れる箇所に用いる場合」といったように「消毒」の文言もなくなりました。
 
 それにしても、新型コロナが流行したからアルコールが品薄になっているのであって、微酸性次亜塩素酸水が新型コロナに有効でないのであれば、わざわざほしいと思うものでしょうか?多くの市民は新型コロナに有効だと信じてもらいに行っているわけです。行政の説明不足は、そうした信頼、信用を裏切っているのではないでしょうか?