公共政策の倫理学(旧地方自治の倫理学)

元藤沢市議酒井信孝のブログです。

緊縮政策を選択できない脆弱社会

 死者の多寡に関わらず、命を賭してまで、経済振興をしなければならないはずはない(本末転倒)。
 本来であれば、感染症対策としても、落ち込んだ経済対策としても、緊縮政策をとるのが真っ当な政治なのではないか。支出を落とし、耐え忍ぶことが、理に適っている。
 経済が停滞し、必需品の流通までもが滞るようなことはあってはならないが、あえて消費を喚起し、必需ではない消費活動までもを推奨して無理に経済を回さなければ成り立たないような社会は、持続可能であるはずがない。
 常日頃から、非常時に、必要に応じて緊縮政策がとれるような、地力、基盤があるような社会づくりをしなくてはならない。
 経済が回らないことで死者が出るとすれば、それは政治や行政が機能していないからである。誰もが困窮してもどうにかなるような社会保障制度でなければならない。社会保障費が増えたならば、累進課税増税によって所得の再分配機能を高める必要はある。
 必要な時に、緊縮政策をとることができないような脆弱な社会であることが、そもそもの問題であるに違いない。