公共政策の倫理学(旧地方自治の倫理学)

元藤沢市議酒井信孝のブログです。

国立市議会事務局のミスリード

昨日、国立市議会の議会運営委員会があり傍聴しましたが、思った以上に酷かった。議会としての標準的な水準を満たしていないのではないでしょうか。
定例会前の議運は昨日の一度だけで、委員への会議資料は会議の場で配布し、その場の議会事務局の説明を鵜呑みにして、大した議論することもなく、採決までしてしまう。にもかかわらず、委員以外の傍聴議員は数人。
即時的な思考力や判断力にそれほどの自信があるのだろうか?
委員は会派(交渉団体)を代表しているのだから、会議資料を会議の前に配布し、情報収集や確認作業、会派内の合意形成をしてから会議に臨むくらいするのがまともな議会のあり方なのではないか。会議資料を当日配布するなら、一度は持ち帰り、再度会議を招集するくらいの丁寧さが必要だ。

昨日は、陳情の取扱いが議題の一つだった。

<委員会への付託等から除外する陳情の取扱基準>

https://www.city.kunitachi.tokyo.jp/ikkrwebBrowse/material/files/group/69/chinjou_kizyun.pdf

議会事務局長は、冒頭の議題説明の中で、私の出した開票事務に関する陳情に関し「陳情事項中、懲戒処分を求める項目がある。委員会への付託等から除外する陳情の取扱基準に「職員に関し、懲戒、分限等個別の処分を求めるもの」とある。該当するのかどうかを協議して下さい。」と促した。そして、すべての委員がそれを鵜呑みにして、その場で除外することに決めてしまった。

最終的な責任は議会にあるし、事務局の説明を鵜呑みにした議員の資質が問われるべきだが、明らかに事務局のミスリードがあった。
陳情項目には「国立市選挙管理委員会に対し、責任の所在を明らかにして懲戒処分を行うよう、要請してください。」と書いていた。どう見ても「個別の処分」は求めていない。陳情理由の本文においても個別の処分は求めていない。個人的な被害を訴えているわけでもない。
職員に対する個別の懲戒処分に関して議会が扱えば、職員のプライバシーや名誉を侵害する恐れもあるから扱わない、という判断はあっていい。それだって、幹部職員や特別職であれば話は別だろうが。しかし、陳情の主旨は、責任の所在を明らかにして組織として真っ当な対応をしろ、と言っているに過ぎない。「懲戒」という言葉があるから該当するなどというのは、あまりに短絡的。わざわざ取扱基準が「個別の」と限定している意味がない。事務局や議員の拡大解釈等、恣意的に規定を用いるようなことはあってはならない。
他の議会でも同様な取扱基準を設けており、同じような項目がある。都議会の事務局にも問い合わせてみたが、私の見解と違いはなかった。(具体的な事例でその都度検討する必要はあると言ってはいた。)
国立市議会が2018年に取扱基準を設けた時、他市を参考にしたのだと思われるが、一つ一つ文言を精査したのだろうか。

そもそも、議会事務局はなぜ、陳情提出から議運まで約1週間もあったのに、陳情者本人に伝えないままいきなり議運の場で除外基準に該当する可能性を指摘したのか。陳情は本会議初日まで訂正や撤回をできることとなっているのだから、市民の請願権を大切にするのであれば、内容の如何によらず、除外基準に該当する可能性は、まず陳情者に伝えるべきではないか。(選管事務局も議会事務局も、同じ市からの出向職員だから、同僚を守るために議会事務局が妨害しているのではないかと疑いたくもなる。)

本日付けで、陳情項目の訂正を提出した。陳情事項の④を「責任の所在を明らかにし、適切な措置を講ずるよう、要請してください。」と訂正した。これを許可するのかどうかは議長が判断することになっているが、昨日の議運の決定は前提条件を欠くこととなったのだから、もう一度審議をしなおし、適切に委員会へ付託していただきたい。