公共政策の倫理学(旧地方自治の倫理学)

元藤沢市議酒井信孝のブログです。

不正リスクと内部統制

不正検査の分野では「不正のトライアングル」というモデルが提唱されている。「機会」「動機」「正当化」これら不正リスクの3要素が揃うと不正が発生する。
不正防止の仕組みを作り不正リスクを減らすことは大切だが、不正は人がやるからに、組織としてやるべきことの第一は、同じ部署で、とりわけ同じ業務に、長期間、同じ職員を従事させないことである。
同じ業務を同じ職員が担当し続けると、その職員にしか分からないことやノウハウ、関係性等が蓄積し、その職員への依存度が増す。長く従事すれば職位も上がり、権限も増す。不正リスクはどんどん高まる。
とりわけ行政は、継続性や公共性が大前提。特別職ではない一般の公務員にあっては、その人にしかできないような仕事などあってはならない。
各公務員が専門性や能力を高めることは、相互チェックや相互補完、業務チェンジ、を常にできるためにも必要なことではある。
 いつでも業務を引き継げるためには、常に業務内容や意思決定過程を明確にし、記録しなければならない。馴れ合いや感覚で仕事していてはいけないのである。
業務記述書の整備、PDCAサイクルの実行、文書主義の徹底、すなわち、内部統制が整備され機能していなけばならない。(一般的には、統制環境、リスクアセスメント、統制活動、情報と伝達、モニタリング、を内部統制の5つの構成要素と言う。)
こうした当たり前のことができていない組織は、常に不正リスクに晒されている脆弱な組織であるわけだが、既に内在する不正が組織の健全化や自浄作用を奪っている可能性は大いにある。