公共政策の倫理学(旧地方自治の倫理学)

元藤沢市議酒井信孝のブログです。

国立市学校建て替え事業の不思議

 国立市政には不可解なことが多い。
 変だな、と思って調べていくと、他自治体では当たり前なことが抜け落ちていたり、時代遅れになっていたり、常軌を逸していたり。合意形成の過程が曖昧なこともしばしば。
 2018年から検討が始まった国立第二小学校の建て替え事業は、今、工事に入る直前まで来ているが、実施設計の終盤だった昨年初頭、市内のしょうがいしゃ団体からの要望が出されたのを契機に設計変更が行われ、階層を繋ぐ巨大スロープの設置が組み込まれた。校舎は3階建てで、ストレッチャーも入れる13人乗りのエレベーターがあり、降下型避難機器「UDエスケープwith」も備えているのに、さらに一階層あたり約70メートルの巨大スロープを2階層分付けることになった。設計変更に6百万円、工事予算としては約6千万円が追加された。
 教育委員会や議会でも疑問の声があったことは議事録で確認できるが、解消されることもなく、大した議論も経ずに補正予算は全会一致で可決されている。
  一番の問題は、インクルーシブ教育を標榜していながら、当事者団体や多様な関係部署が検討段階から加えられることなく進められたこと。その挙句、終盤になって当事者団体からの要望が出されると、大した検討もせずに取り入れることとなった。
 どの段階であっても、より良い物を作るため、より予算を有効に使うために、立ち止まって検討し直すことは必要だが、後から後から問題が出てくるようなのは全体のコーディネートに問題があるのである。とりわけ公共事業であるのだから、説明責任が果たせるような十分な検討過程を経ていなければならない。