公共政策の倫理学(旧地方自治の倫理学)

元藤沢市議酒井信孝のブログです。

国立二小樹木移植騒動における無責任

国立市立国立第二小学校で起きている樹木をめぐる騒動に関し議会陳情が出されている。
陳情本文

国立第二小学校改築に伴う樹木の移植・育成に関する協定書

そもそも、市当局が、このような公有財産の扱いに関わる協定を、水面下で一部市民の集まりに過ぎない市民団体と結んだこと自体に問題がある。突発的で、必要な行政手続きが踏まれているとはとても思えない。

樹木の所有権は市にあるし、公共用地における掘削等地盤工事を伴う大がかりな行為を市民団体に丸投げする(無計画な私的行為を許可する)こと自体が常軌を逸している。事故が起きたらどうするつもりなのか?協定で市の免責が謳われているが、市有地における行為を市が許可している以上、管理監督責任が問われないわけがない。
費用負担にしても、市が負担するには議会の議決が必要である。まったくそうした合意形成や予算措置をせずに、市民が負担するから予算措置は必要がない、というような単純なことではない。樹木の権利義務関係がどうなっているのかは分からないが、市有地の使用を認めている時点で市の負担が発生している。
そもそも今回のような樹木の保存が、目的においても、方法においても、公益に適っているのか?私には、人間の都合で樹木の命を弄んでいる、樹木の尊厳が踏み躙られている、ようにしか見えない。(私は、人間の都合を優先するのではなく、自然の保護・保全が大事だと思っている部類ですが、こんなやり方はやってる人間の自己満足・独善でしかない、と思えてなりません。)
クラウドファンディングで費用捻出するとしても、公益を害するなら市にとっては損害でしかない。しかし、市にとっての損害が発生したとしても、その責任は無責任な協定を結んだ市当局にある。
この陳情審査の中で、こうした基本的な公共政策としての問題がきちんと議論されることを期待する。
本来なら、議会無視も甚だしい市当局の暴挙・暴走であるから、陳情が出されなくとも、議会は自発的に臨時議会とか全員協議会とかを緊急招集して市行政を糺さなければならない。
議員らにこうした問題意識があるのかどうか。むしろ模範的、人道的なことをやっていると思い込んでいるのであれば、議員としての見識が疑われる。
陳情審査をとおして、市当局や議員らが、目を醒ます切っ掛けになることを切に願う。