藤沢市による奨学金給付事業に関する問題提起
子ども文教常任委員会では奨学金給付事業の拡充に関する審議もあり、人道上の問題があるのではないかと問題提起しました。
H29年度から藤沢市は給付型の奨学金事業を始めました。これも貧困対策の位置づけで、所得制限があり、非課税世帯と生活保護世帯、児童養護施設の入所者が応募要件となっています。
さらに高校2年の学年末の評定平均が3.1以上であることも応募要件となっています。年齢制限は20歳までとしているのに、なぜ高校2年学年末の成績を問う必要があるのか?受験勉強ごとき、一念発起して短期間で成績を上げる人はいくらでもいるのに、なぜ過去の成績で未来の可能性を判断されなければならないのか?
そして、1次選考で要件を満たしているか確認し、2次選考は審査委員(教育部長、教育総務課長、福祉健康総務課長、子育て企画課長、県立高校長、市立中校長、福祉関係者、事業者代表、公募委員2名の計10人)が小論文と面接で本人のやる気や人生設計を審査するというのですが、はたして本人のやる気や人生設計をどのように審査し、比較しうるのか?
昨年度16人、今年度17人の応募がありましたが、募集は3人のみ。選考は非公開ですが、本人からの個人情報の開示請求があれば本人には開示されます。落とされた本人の身になってみれば、公共からも見捨てられたと絶望的な思いになるに違いありません。奨学生となった学生は、大学入学から卒業まで3か月一度の面談を義務付け、手厚く寄り添うこととなっています。採用、不採用であまりに大きな落差です。
公共の施策として、一部の人だけを特別扱いするこのような事業があっていいのでしょうか?
今回の拡充は医学部進学枠を1名増設するというもので、寄付をしてくれた人の遺志を尊重するというのが理由ですが、医学だけを特別視するという個人的な事業は個人でやるべきで、それを公共が丸のみするというのも安易に過ぎます。
さらに、在学中の進路変更を許さず、その場合は奨学金の返還を求めることもあるとする制度設計も含め、本事業は人道上の問題があるように思えてなりません。
■議会資料
https://drive.google.com/file/d/1lwChR-63KM6VoHNBka8VA4PnXQLFosYV/view?usp=drive_open&fbclid=IwAR3HZcA8I5c2iISKXl9MY5xbITcajX7_lnnF_5nXKQslU3YmakGKRvlXzhg
■藤沢市議会2018年12月定例会子ども文教常任委員会、奨学金給付事業の拡充についての報告に対する酒井信孝(議員)の質疑・意見